令和4年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第三十七問 解答と解説

解答

 

4.

 

解説

最後の問題です。「サービス・マーケティング」についてです。

すでにある程度の「サービス」の特徴や、その戦略については触れてきました。ここでも問題を通して、引き出しを広げていきましょう。

 

1.「PC のメンテナンスサービス」「いつも笑顔でサービス満点」「 3 つ買ったら 1つサービス」など、日本ではサービスという言葉がさまざまな場面で使われているが、これらの例はすべてサービス・マーケティングの文脈で用いられるサービスに該当する。

やはり、言い切りの選択肢は、まずは疑います。サービスは、無形性、異質性、不可分性、消滅性があるものでした。そして、サービス・マーケティングとは、このような商品を扱う商法になります。

さて、「PC のメンテナンスサービス」、これは確かに無形であり、サービスのひとつでしょう。「いつも笑顔でサービス満点」、これはどうでしょう?たしかに無形性を備えてはいますが、笑顔で商売はできません。日本では、どうも、無料提供することをサービスという傾向がありますが、これはサービス・マーケティングに当てはまりません。最後の「 3 つ買ったら 1つサービス」、これなんかはそもそもで有形性の商品のことを言っていると思われます。よって、誤りです。

 

2.経済のサービス化が進んでいる最大の要因として、消費者の所得が減少し、モノを購入できなくなっている状況が挙げられる。

経済のサービス化は、細かいことはともかくとして、サービス業が増えていることを示します。

モノが高騰していて、「消費者の所得が減少」というところで、相対的には間違っていなさそうに感じますが、誤りです。それが要因で、仮にモノが購入できなくなっていたとしても、サービス化が進む要因にはなりません。何より、サービスが安いなんてこともありませんから。消費者が、デジタル技術の発展により、モノの所有に対する価値よりも、体験やそれに付随する付加価値に、重きを置くようになったためです。

誤りです。

 

3.サービスにおける品質の変動性を回避するためには、企業は顧客がサービスを体験する前に魅力的なプロモーションを実施し、サービスに対する期待値を均一に高めておくといった方法をとる必要がある。

「必要がある」は、疑ってかかる用語です。

まずサービスの品質は均一にはならない性質があるというのは、特性のところで出てきました。(異質性)。では、その問題を未然に防ぐ方法が、プロモーションを実施とは、まったく解決になりません。どちらかというと、サービス提供者の教育を均一的に行い、マニュアルを充実させるなどといった方法が正しいでしょう。これで解決できるのは、無形性によりプロモーションが難しい点ですね。よって誤りです。

 

4.サービス品質の計測尺度の 1 つである SERVQUAL は有形性、信頼性、反応性、確実性、共感性の 5 つの変数で構成され、それぞれにおいて、サービス提供における事前と事後の差を計算し、サービス品質の評価が行われる。

SERVQUALは、サービスの品質を示す言葉です。サービス(Service)と品質(Quality)からできた造語です。サービスの品質を図ることは難しいので、尺度の考え方をまとめたもののひとつです。尺度には以下の5つの尺度があります。

有形性:サービスを行う際の設備であったり、サービス提供者のみなりなど、サービスを行う周辺の物理的な要素についての品質。

信頼性:サービスを受ける側が期待した結果が受けられるかどうか。

反応性:サービス提供のスピード。サービス提供者の反応。

確実性:サービスを確実に提供するに値する技能、知識を有しているか。

共感性:サービス提供者と受ける側のコミュニケーションが良好に取れているか。配慮が行き届いているか。

 

選択肢の文章は、この説明文になっていますね。まったく知らないと、有形性と見えた瞬間、候補から外してしまうかもしれないので、危険です。しっかり覚えておきましょう。これが正解です。

 

以上より、4が正解です。