令和4年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第二十六問 解答と解説

解答

 

3.

 

解説

 

労働組合法についてです。これも労働基準法に次いで、膨大に覚えることがある法律です。が、労働基準法ほうどの頻度はありませんので、覚えることは限定的でも良いかもしれません。とりあえずは、Wikiで見ていきましょう。

 

労働組合法 

労働組合法(ろうどうくみあいほう、昭和24年6月1日法律第174号)は、労働組合の規律等を定めた日本の法律である。資本家に対抗するために労働力の集団的取引を確保するため、労働組合の結成を妨害することは不当労働行為等の条文によって保護され、合法的に労働組合の結成を妨害することは不可能な構造となっている。

終戦後の事態に対処し、労働者の団結権を保障しその地位の向上を図り経済の興隆に寄与せしめるため労働組合の健全なる発達を助成する等を狙いとして[1]、第89回帝国議会に法案提出。議会での協賛を経て1945年(昭和20年)12月19日裁可、同年12月22日公布、翌年3月1日施行。当初は文語体の条文であったが、1949年(昭和24年)の全部改正の際に口語体に改められた。後に制定された労働関係調整法労働基準法と合わせて労働三法と呼ばれる。

構成[編集]

  • 第一章 総則(第1条―第4条)
  • 第二章 労働組合(第5条―第13条の13)
  • 第三章 労働協約(第14条―第18条)
  • 第四章 労働委員会
    • 第一節 設置、任務及び所掌事務並びに組織等(第19条―第26条)
    • 第二節 不当労働行為事件の審査の手続(第27条―第27条の18)
    • 第三節 訴訟(第27条の19―第27条の21)
    • 第四節 雑則(第27条の22―第27条の26)
  • 第五章 罰則(第28条―第33条)
  • 附則

 

目的等

この法律は、労働者使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること、労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出することその他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成することを目的とする(第1条)。

労働者が労働組合を組織する権利(団結権)は日本国憲法第28条によって保障され、その手続きや組合の具体的な権能等を定めるのが本法である。

 

 

定義

労働組合

この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。但し、以下の各号の一に該当するものは、この限りでない(第2条)。

  1. 役員雇入解雇昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者、使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接に抵触する監督的地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者の参加を許すもの
  2. 団体の運営のための経費の支出につき使用者の経理上の援助を受けるもの。但し、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、且つ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。
  3. 共済事業その他福利事業のみを目的とするもの
  4. 主として政治運動又は社会運動を目的とするもの

労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する(第6条)。 

「直接原価計算」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年3月22日 (火) 09:43 UTC、URL: 労働組合法 - Wikipedia

 

1.労働組合が特定の事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することは、不当労働行為に該当するため認められない。

 

基本的には、労組法の中で、労働組合に加入しない権利、選択する権利が労働者には与えられています。そのため、会社が勝手にそのような雇用条件を設定することは認められていません。

しかし、過半数を代表する労働組合と会社間で協定を結ぶことができます。それが、ユニオンショップ制度です。この場合、労働者が当該労働組合に入らない場合や、脱退した場合、会社はその労働者を解雇することができる、いや、解雇しなければいけません。この制度の目的は、労働組合の組織力の向上と、会社との運営を円滑なものにする効果が期待できるものです。

ユニオン・ショップ 

ユニオン・ショップunion shop)は、職場において労働者が必ず労働組合に加入しなければならないという制度

概要

採用時までに労働組合加入が義務付けられ、採用後に加入しない、あるいは組合から脱退し、もしくは除名されたら使用者は当該労働者を解雇する義務を負う、という制度。雇い入れ時には組合員資格を問わないという点で、組合員のみの採用を義務付ける「クローズド・ショップ」とは異なる。これに対し、労働組合の加入を労働者の自由意思に任せるのが「オープン・ショップ」である。

ユニオン・ショップはその性格上、使用者と労働組合との癒着が発生しやすく、御用組合を生む原因である、といった指摘もある。

 

「直接原価計算」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年3月12日 (土) 23:58 UTC、URL: ユニオン・ショップ - Wikipedia

 

 

以下、労組法では第7条に、そのような例外を示す文章があります。

 

労働組合法第7条

使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない

  1. 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもって、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。 

 

よって、これは誤りです。これのついでに黄犬契約という用語も覚えておきましょう。こちらは基本的には、会社にはむかうような労働組合に入ったら、解雇しちゃうぞっていうような行為のことを言いますが、加入を条件にすることも、これに含まれます。

黄犬契約 

黄犬契約(おうけんけいやく、こうけんけいやく)とは、雇用者労働者雇用する際に、労働者が労働組合に加入しないこと、あるいは、労働組合から脱退することを雇用条件とすることをいう

「直接原価計算」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2021年3月25日 (木) 08:24 UTC、URL: 黄犬契約 - Wikipedia

 

2.労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、その内容が労働者と使用者との労働契約の内容になるため、当事者が署名又は記名押印した書面を作成することなく当事者の口頭によって交わされたものであっても労働協約としての効力を生ずる。

労働協約についてです。

労働協約 

労働協約(ろうどうきょうやく)とは、労働組合使用者またはその団体と結ばれた労働条件などに関する取り決めのうち労働組合法(昭和24年6月1日法律第174号)に則って締結されたものをいう。

労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならず(労働基準法第2条[1]、労働協約は労働組合法第3章や労働基準法等の法令によってその作成手続、実体、効力等を規制される。

  • 本項で労働組合法については以下では条数のみ記す。

成立要件[編集]

第14条(労働協約の効力の発生)

労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによつてその効力を生ずる。

 労働組合による団体交渉や労使協議により労使双方が労働条件その他に関する事項を取りまとめた場合、労働協約と認められるためには、書面に記すことと、締結両当事者の署名または記名押印が必要とされる(第14条)。この要件を満たさなければ、仮に労使間に労働条件その他に関する合意が成立したとしても、これに労働協約としての規範的効力は付与することはできない(都南自動車教習所事件。最三小判平成13年3月13日)。組合の組織率は問わないので、少数組合であっても独自の労働協約を締結することは可能である。労使間の合意文書の表題が「覚書」「了解事項」等の名称であっても、第14条に該当すれば労働協約といえ(青森地判平成5年3月16日)、団体交渉記事録であっても、労使双方が署名したものであれば、その内容によっては労働協約と解される(東京地判昭和43年2月28日)。

 

「直接原価計算」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年5月5日 (木) 11:23 UTC、URL: 労働協約 - Wikipedia

 

成立要件については、要注意です。「書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによつてその効力を生ずる」となっており、口頭では成立することはありません。よって誤りです。

 

3.労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。

労組法には以下のように委任を受けた者の記載があります。

「労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する(第6条)。」

よって、委任された者は、交渉権限を有します。これが正解です。

 

 

4.労働者が労働組合を結成し、もしくは運営することを支配し、もしくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えることは、使用者が行ってはならない不当労働行為に当たるため、使用者は、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを許してはならない。

 

団体の運営のための経費の支出につき使用者の経理上の援助を受けるもの。」は、労働組合とは認められないとなっており、基本的に使用者側に経理上の援助を受けてもらってはいけないことになっています。

しかし、例外があり、「但し、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく・・・」

というように、問題文にあるようなケース、使用者との協議を、労働時間中にする場合、これを許すことを妨げるものではないとなっています。よって、この選択肢は誤りです。

 

 以上より、解答は3です。

なかなかこの辺は、覚えることが大量にありますが、ひとつひとつ問題を通じて記憶に刻み込んでいきましょう。最初から全部覚えようとする必要はありません。