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組織スラックは、なぜか昨今よく耳にします。問題としても今後も出てくることが予想されますので、意味は少なくとも覚えておくのが良いでしょう。
組織スラックの意味を言うなら、組織の中に存在する余裕資源です。資源とは、お金、物・設備、人などなどなど、あらゆるものの余裕資源です。とりわけ人の余裕がこの組織スラックでは取り上げられることが多いです。
余裕資源がなぜないといけないのでしょうか。例えば突発的なトラブル、受注が入った場合に、余裕資源がまったくない場合、その対応は後に回され、トラブルは大炎上するかもしれません、受注チャンスを逃すかもしれません。余裕資源があるために、このようなリスクや、チャンスをものにすることができます。逆に余裕資源の無い企業はそれ以上の成功ができない傾向があります。
また組織間の調整役として、組織スラックは活用されることがあります。このような組織スラックがある場合、組織に縛られることなく、組織間の仲裁や調整を行う人員を割くことが可能になり、組織間の衝突が少なくなると言われています。
最後に重要なのが、業務の改善やイノベーションです。日々の業務でいっぱいいっぱいの場合、もう少し時間があれば、新製品の検討ができるのにとか、業務をもっと効率化する施策が取れるのにってありますよね。人や時間、そのような余裕があってこそ、業務改善やイノベーションは起こるものです。
しかし、注意点も必要です。だからといって、組織スラックがいくらでもあって良いかというと、当然ノーです。ありすぎる人員は明らかに無駄となります。適度の組織スラックを意識した体制構築が、重要になります。
では、問題文を見ていきましょう。
1.好況時には、組織スラックを増やすことを通じて、組織参加者の満足水準が上昇することを抑制できる。
先に言ってしまうと、これが正解です。しかし、これを一発で正解だって見抜くのは結構厳しいでしょう。もしかすると、他のを読んで消去法で、これを選択の方が楽かもしれません。
好況時に、組織参加者の満足水準が上昇するとはどういうことでしょうか?好景気なんだから、もっともっと給料上げろーとかそういうことなんでしょう。それを抑制する役割が組織スラックにあるかという話です。イメージ的になかなか難しいところですが、好況時には、組織スラックを増やすチャンスです。収入も多いはずですので、そのままだと稼いでいるのだから、給料増やせーっていう話にもなってしまいます。それも重要ですが、それだけでは何も起業に残らないです。企業の成長のため、研究・開発に人員や金を割いて、次のイノベーションに備えるのが重要です。すると、全体として満足度水準は高まり過ぎず、イノベーションの種も育てていけることになります。
逆に不況時には、組織スラックを減らして、組織に戻します。不況時に研究開発なんてやっている暇なんてなく、稼ぎを優先していかなければいけないです。こうやって、研究・開発費を減らし、稼ぎを組織に還元することにより、満足度水準を満たすようにしてあげます。
2.組織スラックが存在しない場合、革新案を探索する際にリスク志向的になる。
リスク志向的ってのは、ハイリスクハイリターン好きってことです。組織スラックが無い場合、つまりは全く余裕が無い場合、革新案が失敗すると、代替手段も取れずに、大損失になる可能性があります。そのような場合には、リスクは回避する傾向が強まります。よって、誤りです。
3.組織スラックが存在すると、部門間のコンフリクトが激化する。
逆ですね。衝突は少なくなるという話でした。誤りです。
4.組織スラックは、組織革新を遂行するための資源とはならないが、環境変化の影響を吸収するバッファーとしての役割を持つ。
前半の「組織確信を遂行するための資源とはならない」は、間違いですね。業務改善など、組織スラックがあることにより進めることができるのでした。「後半の環境変化の影響を吸収するバッファー」については正しいです。
5.不況期には、組織スラックを組織参加者に放出することによって、短期的に参加者の満足水準を低下させることができる。
これは逆ですね。満足水準を向上させるのでした。誤りです。このように、中小企業診断士の問題ではよくよく読むと、選択肢の中に逆のことを言っている問題をたまに見かけます。ひっかけの場合もありますが、このような場合は、たいていどちらかが正解になるはずです。
いかがでしょう。1が一番判断が難しく、それ以外の選択肢は誤りであることが比較的簡単です。だいたい選択肢には意図があり、消去法をさせたいのか、明確な正解を選ばせたいのか、それを読み取るのも重要になってきます。
以上より、1が正解です。