4.
組織のライフサイクル仮説は、これは最近耳にすることもあり、ホットなキーワードだと思います。今後も含めて出題確率の高い事項であると思います。
組織のライフサイクルとは、組織ももちろん成長をしていき、色んな問題や壁が出て、それを乗り越えまた成長していくことを繰り返していきます。この組織のライフサイクル仮説では、そのような組織の段階を定義して、それぞれの段階において発生する問題であったり、その解決案の提案などがされています。
まず、その段階とはこの仮説では4段階に分けられます。
- 起業者段階
- 共同体段階
- 公式化段階
- 精巧化段階
正直なところで、いまいちどんな段階なのかピンとこないです。いや、個人の感想です。と言ったところで始まらないので、それぞれの段階を勉強していきましょう。
起業者段階
まずは起業者段階です。他に比べると、ちょっとは想像しやすいかもしれませんが、組織が結成されて間もない状態で、組織としてまだまだまとまりもなく、ルールもない状態です。ベンチャー企業や新しく組織された小さな組織などがこれに当たります。
このような組織では、組織の目的も明確には定まっていません。新製品など、創造的な事業を展開していく場合が多く、逆に従業員は、それぞれの組織におけるあり方を模索していかなければいけません。顧客を増やし、事業拡大させていくことが最大の目的となります。
そこで、みんながオロオロとしていては、組織として立ちいかなくなっていくので、ワンマン社長のような強力なリーダーが必要となっていきます。このリーダーが、組織をひっぱり、目的を明確にしていき、各従業員をまとめあげていかなければ、バラバラのまま組織は成長しないままになっていまいます。
共同体段階
共同体段階って、なんか言葉が想像つきにくいですが、起業者段階で組織を引っ張っていくリーダーが出てきて、その強いリーダーシップにより組織がまわり始めていったあとの段階です。人や資材が集まっていき、目標が明確になって、組織一丸となって取り組んでいきます。しかし、モノ・カネ・ヒトが集まったことにより、一人のリーダーでは、再び組織は成り立たなくなっていきます。様々な権限が、リーダーに集中していたため、リーダーの決定待ちになり、保留案件が増えていき、イライラがつのってきて、モチベーションの低下につながります。
このような段階では、権限を委譲していき、業務ごとのミニリーダーを育てていく段階になってきます。 権限移譲されたミニリーダーにより、組織は円滑に回り、また、各メンバーがリーダーを目指していく風土が出てきて、再びモチベーションがあがっていきます。
公式化段階
やっぱりネーミングはあまりピンとこないですが・・・。共同体段階からさらに組織は成長し、安定的な運営ができるように、規則や階級などが整理されていきます。しかし、このような業務の形式化がどんどん進み、マニュアル人間のような人や、内部組織の壁ができてしまい、コミュニケーションがかえって少なくなってしまい、イノベーションが起こらない組織になっていきます。
このような段階では、組織を横断するための、組織改革を行ったり、横断したコミュニケーションを活性化させる取り組み、社内コンペなど、組織の壁を越えた活動を行っていく必要があります。
精巧化段階
名前を見ると、何か極めてしまったのかなという段階なのか?と思って今いますが、、、。公式化段階で、いわゆる官僚的組織を打破して、臨機応変に対応可能な組織が構成されました。そして、さらに組織はどんどん大きくなった段階です。
この時には、その組織は大きくなりすぎて、停滞してしまう時期です。新しいことをやるにも、規模が大きすぎて、動きにくくなり、初期メンバーなどが、儲かっているけど、こんなことやるはずじゃなかったみたいなことを言い始めているかもしれません。
このような組織は、停滞してしまい、そのうち新しいイノベーションに対応しきれず、衰退していきます。そのため、再活性させるため、組織の改編、IT技術の導入など、新しい何かを取り入れていく必要が出てきます。
さて、今回の問題は、4つの説明文と各段階を紐づける問題です。選択肢を見ていきましょう。
① この段階では、人的資源の開発が有効性指標として重要となり、経営者のリーダーシップの下で職場集団の凝集性とモラールを高めることが追求される。
ちょっとわかりにくいですが、強いリーダーの元、モラルや基本的な規則を整えている段階ですので、共同体段階ということが分かります。
② この段階では、資源獲得と成長が組織の有効性指標として特に重視され、顧客や金融機関などの利害関係者と良好な関係を築くことに中心的な価値が置かれる。
資源獲得、つまりは事業をどんどん拡大していくことが最大目標となるというところで、最初の段階である起業者段階であることがわかります。
③ この段階では、組織の安定性と統制、ならびに組織の生産性が支配的な有効性指標となり、情報管理システムや業務上の規則と手続きが組織内で広く整備される。
この3と4は似たような文章です。ここまでで、公式化か精巧化ですので、違いを意識して読むのが良いでしょう。規則や手続きの整備は、公式化段階ですね。これが行き過ぎると、官僚的になりすぎて、組織が硬直化してしまうことに注意する必要があります。
④ この段階では、組織の安定性と統制、ならびに組織の生産性と人的資源の開発を重視しつつ、新たな環境適応のための資源獲得と成長が追求される。
最後が、新たな環境適応や資源獲得というところで、再活性させていますので、この段階は精巧化段階と分かります。
以上より、解答は4になります。