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動機=モチベーション。それがどのように起こりえるものなのかということを理論として定義したものです。なんか、胡散臭い啓発セミナーみたいな匂いもしますが、これは大真面目な理論です。有名どころとしては以下あたりでしょうか。
・マズロー:欲求5段階説(自己実現理論)
・ハーズ・バーグ:動機づけ・衛星理論
・ステイシー・アダムス:公平理論
・デシ:内発的動機付け理論
・ブルーム:期待理論
・マグレガー:X理論・Y理論
・マクレランド:欲求理論
・ロック:目標設定理論
山ほどあって、どれもこれも重要なので、ざっくりと概要を覚えておきましょう。
・マズロー:欲求5段階説(自己実現理論)
欲求を、以下のように下位~上位欲求まで段階分けして、下位が満たされると上位へ欲求が表れ、人の行動の動機となっていくものとした。
- 自己実現の欲求 (Self-actualization)
- 承認(尊重)の欲求 (Esteem)
- 社会的欲求 / 所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)
- 安全の欲求 (Safety needs)
- 生理的欲求 (Physiological needs)
・ハーズ・バーグ:動機づけ・衛星理論
仕事へのモチベーションとなる要因と、仕事の不満要素となる要素を分析し、それぞれ、前者を動機づけ、後者を衛星理論と定義した。
・ステイシー・アダムス:公平理論
ざっくり言うと、報酬に応じて、モチベーションを上下するので、結局のところ、他の人より低いと感じたら、他の人より怠けるし、高いと感じたら、他の人よりも頑張るよっていう理論です。重要なのは、公平にコントロールするのは、報酬を受け取る側で、他人と比較して決めるというところです。
・ブルーム:期待理論
公平理論と、詰まるところ似た話ですが、ある行動をしたとき、その人はそれ相応の報酬を期待します。そして、その結果に応じた報酬が出ることにより、人はモチベーションが高まるということです。
つまり、行動には期待があり、その期待と同等またはそれ以上がリターンされることでモチベーションが高まるということです。
・マグレガー:X理論・Y理論
X理論・Y理論って、すでに2つ理論が出ちゃっています。これは、環境によりアプローチを変える必要だと言っているわけです。マグレガーは、先に出ているマズローの欲求段階説を参考にしており、低次元な欲求を強くもっている人は、仕事に対するモチベーションはどうやっても薄くなるので、命令や罰などを与えて制御しなくてはいけないとしています。しかし、近年、低次元欲求が満たされていない企業も少ないはずで、人は高次元の欲求を持っているはずで、これら、仕事への充実感、達成感を満たしてあげるのがY理論というわけです。
・マクレランド:欲求理論
仕事に従事する従業員には、以下の3つの欲求があるという理論です。
- 達成動機:まあ、仕事を完遂したいって動機ですね。
- 権力動機:評価され、昇進したいって動機です。
- 親和動機:周りから信頼され、円滑な関係性を築きたいって動機です。
・ロック:目標設定理論
明確で、程よく高い目標が設定されると、モチベーションが出るよっていう理論です。簡単すぎてもダメ、難しすぎて受け入れられない目標でもダメってところがポイントです。
では、問題を解いていきましょう。
1.期待理論では、職務成果と報酬とのつながりが明確な場合に報酬の魅力度が高まりやすいことを根拠として、人事評価制度の透明性が仕事に対する従業員のモチベーションを高めると考える。
うーん、難しい。それっぽく聞こえてしまうので、判断しにくい選択肢です。本番では読み飛ばして、他の選択肢に明確な正解が無いか探してもよい選択肢です。しかし、期待理論はあくまで、仕事を行うことにより期待する報酬と、実際に得られる報酬の大きさが、モチベーションに繋がるという話でした。確かに透明性により、その期待値が出しやすいという話はありますが、透明性そのものがモチベーションを高めることにはつながらないでしょう。あるとすると公平理論の方ですね。
2.公平理論では、従業員間で報酬に関する不公平感が生まれないように公正に処遇することで、仕事の量と質を現状よりも高めるように従業員を動機づけられると考える。
これもまた、判断に困る選択肢です。が、上でも説明したように、不公平感が生まれないように調整するのはあくまで従業員側です。これは誤りですね。
3.動機づけ・衛生理論(二要因理論)では、職場の物理的な作業条件を改善することは、仕事に対する従業員の不満を解消するための方法として有効ではないと考える。
仕事への不満などモチベーションを下げる要因を定義した、衛星理論があります。これには物理的な作業条件や環境などが含まれるため、それを解消するのは有効な手段です。誤りです。
4.D.C.マクレランドの欲求理論では、達成欲求の高い従業員は、成功確率が低く挑戦的な目標よりも、成功確率が中程度の目標の方により強く動機づけられると考える。
なんか、目標設定理論の方に聞こえてしまって、正しいとつけにくいのですが、これが正しいです。達成要求を重視する人は、あまりにもハイリスクなものは避けるとしても、中程度のリスクを好む傾向が強いとされています。
5.D.マグレガーが「X理論」と命名した一連の考え方では、人間は生来的に仕事が嫌いで責任回避の欲求を持つため、やりがいが強く感じられる仕事を与えて責任感を育てる必要があると考える。
X理論は、マズローを参考にしていて、X理論は低次元の欲求が中心の人に向けたものでした。その環境においては、「人間は生来的に仕事が嫌いで責任回避の欲求を持つ」は正しく、そのために、命令や罰など厳しく管理しなくてはいけないのでした。後半の説明は、どちらかというとY理論ですね。
よって解答は4です。