令和 4 年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第十一問 解答と解説

解答

 

4.

 

解説

 

海外進出の形態に関する問題です。過去に何パターンか出ているので要チェックです。

まず、海外進出する形態としては、直接進出する形態か間接進出する形態かに分かれます。

 

直接進出

自らが、直接支出して、法人や支社を設立する場合です。さらに分けると、以下の形態に分けることができます。

現地法人(子会社)

進出先で、完全子会社を設立するやり方です。完全新規で法人を設立する場合、まっさらな野原から、新たなものを開墾していくことにたとえて、グリーンフィールド投資と言います。逆に、国境をまたいだ買収(クロスボーダーM&A)などによって、既存企業を買収して完全子会社化してしまうやり方を、ブラウンフィールド投資と呼びます。

ブラウンフィールド投資では、文化の違い、地域の風習などから、既存企業を買収することにより、参入障壁を低くして、導入にかかる時間を低減することが期待できます。

 

現地支社

自国の支社を、進出先に設立するやり方です。進出先によっては、設立が制限されている場合が多いです。

 

駐在員事務所

現地法人や現地支社を設立するための下準備のため、情報収集を目的とした非営利の事務所のことです。

 

間接進出

海外の販売店や代理店を選び、間接的に事業を展開する場合です。完全に以下だけというわけでは無いと思いますが、中小企業診断資格の範囲では以下を覚えておけばOKでしょう。

フランチャイズ契約

自社がフランチャイザーとなり、進出先にフランチャイジーとして、フランチャイズ加盟店を設立します。加盟店にはフランチャイズ契約を行い、そこで、ある程度の自社の制約をかけることができるので、制御がしやすい利点があります。

 

ライセンス契約(提携)

自社が持つライセンスを、提携先の企業へ提供します。提携企業はライセンスを使用して、進出先に合った事業展開を行い、その売り上げをライセンス料として支払います。

ある意味制御がきかない場合があり、ブランドに傷がつく可能性もあります。また、ライセンス期間が過ぎて提携が切れると、それまでのノウハウから、進出先でライバル関係になることもあります。

 

販売代理店

自社製品を販売する進出先の企業と、代理店契約を結び、販売してもらいます。スマートフォンとかって多いですよね。

 

さて、ここまでで、まずは問題文を見ていきましょう。

 

1.完全子会社を新設し、海外市場に進出する形態をブラウンフィールドと呼び、1980 年代に日本企業が海外に進出するとき、この方法が多用された。

正確に形態を覚えていなくても、ブラウンフィールドが既存を利用したものと分かっていれば、まったく新しく新設というところで、誤りとわかるでしょう。誤りです。

 

2.企業が他の国の会社を買収することをクロスボーダー企業買収と呼び、海外進出形態の中で最も時間のかかる参入方法である。

クロスボーダー企業買収については合っています、が、時間がかかる参入方法というのは違いますね。新しく現地法人を1から作っていく方が時間がかかります。

 

3.戦略的提携による海外進出とは、提携に参加するすべての企業が出資をした上で、進出国のパートナーと進出国で事業を行うことである。

これはちょっと難しい。しかし、提携による海外進出が、出資が必須のような書き方は誤りです。例えばライセンス提携する場合、出資の必要はありません。よって、これも誤りです。

 

4.ライセンス契約で海外進出をする場合、契約が失効した後、ライセンシーがライセンサーの競合企業となるリスクがある。

 ほかの言い回しが、ちょっと難しいですが、この選択肢が正しいことは明確に分かるはずですので、簡単な問題だったでしょう。書いている通りです。

 

よって、正解は4です。