令和 4 年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第十問 解答と解説

解答

 

4.

 

解説

 

知識創造理論については、中小企業診断士試験を置いておいても、最近よく聞く理論です。野中郁次郎さんの名前とともに、どのような理論なのか確認しましょう。

 

 

結構古い書籍ですが、最近新装版が出ていますね。古いのは、僕も会社で前に読んだ覚えがあります。

みなさんは、知識が構築されるメカニズムを考えたことがあるでしょうか。知識と言っても、だれか個人が数学の公式を理解して、問題が解けるようになったという単純な知識ではありません。知識は、他の別の知識と合わさって新たな知識に発展し、そして組織全体に共有化され、また様々な知識と合わさっていく。その流れからイノベーションは発生していくものという、知識の広がりと合わさりについて、体系化したものです。

知識創造理論では、知識は、暗黙知形式知に分けられます。

暗黙知

暗黙知とは、主観的なひらめきや発想による知識の発展を表します。これらは言葉や文章に表しにくく、また完全に形式的にはなっていないものです。

 

形式知

その理論が整理され、手順が明確になっている知識を表します。これらはマニュアル化、公式化がされて広く一般化可能な知識であるものです。

 

さて、これら2種類の知識について、どのように知識が合わさり広がっていくのかの過程を体系的に整理されています。これを、SECI モデルと言い、各フェーズの頭文字が取られています。

①共同化 (Socialization) 
②表出化 (Externalization) 
③連結化 (Combination)  
④内面化 (Internalization) 

 

共同化

さて、まずは共同化です。共同化では、言葉で表現が難しいのだけど、こういうこと、というように誰かが内面に抱えている暗黙知を、みんなに共有します。言葉足らずなベテランが、とにかくこういうことよって感じに、習うより慣れろみたいなイメージでしょうかね。

 

表出化

伝授された者は、それをそのままにはせずに、そんな感覚で教えられてもと、マニュアル化、理論化していきます。この時点で、暗黙知は誰もが理解可能な形式知へと変わります。

 

 連結化

そして、一般化されることにより、多くの人がこの知識を習得していきます。その知識の広がりにより、その知識は多くの人が試行、そして様々な知識との融合を繰り返して体系化されていきます。

 

内面化

最後には、これらの知識はそれぞれの内面で融合されていき、新たな暗黙知を生み出していきます。そして、またその知識が共同化され、このサイクルを繰り返していくわけです。

 

 では問題文を見ていきましょう。

 

1.経営者の主観的な思いは、組織的な知識創造を阻害する。

なかなか難しいところをついた問題なのですよね。何度か出ているので、選択肢の方を難しくしているのかな。最初の暗黙知のところでもあったように、主観的に考えることにより暗黙知とは育っていくものです。よって、知識創造のサイクルは、主観的観点を除いて成り立ちません。ちょっと経営者のって限定しているのが、分かりにくいのですが、少なくとも阻害するは誤りです。

 

2.組織構成員に自律性を与えると、全体の統制が取れなくなるので、組織的な知識創造は阻害される。

自立性や主観性により暗黙知は育ちます。よって、誤りです。

 

3.組織構成員に当面必要のない仕事上の情報を重複して共有させると、コミュニケーションに混乱が生じるので、組織的な知識創造は阻害される。

知識が合わさることにより、暗黙知が生まれ知識創造のサイクルは回ります。よって、誤りです。

 

4.組織構成員に複数の役割を経験させ、多面的に物事を考えさせるようにすると、組織的な知識創造は促進される。

その通りです。このように内面化が進んでいくわけですね。

正しいです。

 

5.組織構成員間で暗黙知が共有できるまで、外部組織とはできるだけ接触させない方が、組織的な知識創造は促進される。

外部からの知識も含め、多方面の知識を取り入れるべきです。

誤りです。

 

以上より、4が正解です。