令和 4 年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第九問 解答と解説

解答

 

1.

 

解説

 

イノベーションのジレンマについては、有名な話であり、出題頻度も高いです。まずは、Wikiで用語の意味をおさえておきましょう。

 

イノベーションのジレンマ (The Innovator's Dilemma)

 巨大企業が新興企業の前に力を失う理由を説明した企業経営の理論。クレイトン・クリステンセンが、1997年に初めて提唱した 

大企業にとって、新興の事業や技術は、小さく魅力なく映るだけでなく、カニバリズムによって既存の事業を破壊する可能性がある。また、既存の商品が優れた特色を持つがゆえに、その特色を改良することのみに目を奪われ、顧客の別の需要に目が届かない。そのため、大企業は、新興市場への参入が遅れる傾向にある。その結果、既存の商品より劣るが新たな特色を持つ商品を売り出し始めた新興企業に、大きく後れを取ってしまうのである。例えば高いカメラ技術を有していたが、自社のフィルムカメラが売れなくなることを危惧して、デジカメへの切り替えが遅れ、気付いた頃には手遅れになってしまっていたなどがある。 

イノベーションのジレンマ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。

2022年5月17日 (火) 00:01 UTCURL: イノベーションのジレンマ - Wikipedia

 

読んでなるほどですよね。既存製品にとらわれて、大企業は新規技術の取り入れが遅れてしまい、後手後手にまわり、気づいたときには手遅れになってしまうケースは、昨今であります。このようなイノベーションから生み出される新技術を「破壊的技術」と呼びます。

このような技術の進歩とはどのように進歩していくのかというと、決して連続的なものではなく、非連続なものと言われます。そして、ひとつひとつの技術はS字を描くようにして技術進歩し、急激に成長して成熟していきます。

そして非連続的に新技術が開発され、それが再びS字を描いて、旧技術を追い抜いていきます。旧技術にとらわれていると、新技術に乗り遅れてしまうのは、この非連続性のためです。

それでは、これはそのまま問題文を読んでみましょう。どれも似たような文章であることに着目です。何が違うのか理解して読み進めましょう。

 

a 破壊的技術が登場した初期段階においては、破壊的技術を利用した製品の性能の方が持続的技術を利用した製品の性能よりも低い
b 破壊的技術が登場した初期段階においては、破壊的技術を利用した製品市場の方が持続的技術が対象とする製品市場よりも小規模である
c 破壊的技術が登場した初期段階においては、破壊的技術を利用した製品の方が持続的技術を利用した製品よりも利益率が低い

 

結局後ろの文言だけが違いますね。

 

a. S字曲線を見ても分かるように、当初は成熟した旧技術よりは低いことが多いです。もちろんすべての技術が旧技術を超えるとも限りませんが、新技術により旧技術は決して及ばないものになります。これは正しいです。

 

b. これは合っています。まさにイノベーションのジレンマでの説明のとおり初期段階では、大企業は新技術に参入し遅れることがあり、市場は小規模のはずです。よって、正しいです。

 

c. これは、どうでしょう。ちょっと考える必要はありますが、初期投資、研究費にお金がかかるため、利益率は成熟したものよりも低いのは明白だと思います。よって、正しいです。

 

以上より、すべて正しいですね。答えは1です。