令和 4 年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第八問 解答と解説

解答

 

 

解説

 

インドの経営学者、S.D.サラスバシーのエフェクチュエーションは、全然ノーマークだったって人も結構いる気がします。意思決定のための理論で、多くの起業家が、この理論を参考にしています。そのまんまのタイトルの書籍が出ています。僕も年末あたりに読んでみようかと思います。

 

 

ざっくり言うと、上でも言ったように、意思決定のための理論みたいなものです。そのフレームとして、4つの原則と1つの世界観が定義されています。それが以下です。タイトルだけ読んでもよく分からないのですが、これはよく考えられた理論です。

 

「手中の鳥」の原則

さっくり言うと、今持っているものから始めましょうということです。

 

「許容可能な損失」の原則

失敗したときに、どれくらいまでの損失は許容できるのか、ということを決めておいて選択を行う、というものです。

 

「レモネード」の原則

酸っぱいレモンのように、なかなかターゲットに刺さらない事業についても、創造性や工夫をすることで、甘くしていき、魅力あるものを作り出せるということです。

 

「クレイジーキルト」の原則

クレイジーキルトとは、不規則に布をぬいつけていく、アップリケキルトのことです。顧客や競合なんかもひっくりめて、パートナーとみなして、それらが織りなす事業が、信じられないくらい素晴らしいものができることがあると考えるものです。まあ、なんとなく顧客や競合を単にお客さん、敵みたいに考えず、高め合える存在と捉えましょうということでしょうか。

 

「飛行機の中のパイロット」

これもタイトルからの理解は難しい。予測や自動的なものに頼らず、事業を制御して良い方向に向かわせるようにしましょうということです。ある種、予測、シミュレーションばっかりに頼らず、まずは手を動かして、自分で制御して良い方向に持っていくようにしましょうっていうことと理解していますが、詳しくはまた書籍で確認してみようと思います。

 

まあまとめると、まずは自分が持っているものから、とにかく初めてみましょう。その結果から臨機黄変に進めていくのが良いですよ。失敗することもあるだろうけど、どういった失敗なら許容できるのか、見極めておくことを選択基準としましょう。失敗しても、創意工夫により、魅力あるものに変えることができます。競合や顧客をパートナーと捉えて、彼らとともに、たくさんの化学変化を起こして、素晴らしいものができるはず。というような感じでしょうか。

 

では、選択肢を見ていきましょう。

 

1.成功と失敗の確率が事前に分かっている場合に有効

予測やシミュレーションに頼らないという理論です。これは真逆ですね。このような考え方は、コーゼーションと呼びます。よって誤りです。

 

2.特定の事業機会における競合分析や市場分析を行う場合に有効

競合や顧客もパートナーとして捉えるに反しているわけでもないですが、ニュアンス的には反対です。また、このように分析結果やシミュレーションに頼ることをしないで、まずは、あるものから始めてみるという考え方ですので、違います。誤りです。

 

3.どのような環境に注目し、どのような環境を無視すべきかが不明瞭な場合に有効

個人的には、自信を持ってまでは選ぶのが、難しいなっていう選択肢ですが、答えはこれです。~分析など使って、この分野をターゲットにするとか、やっていないで、まずは試してみましょう、そこに結果で学んでいけば良いのだから。という考え方なので、逆に言うと不明瞭のままでいいから、とにかくやってみようという考えです。

 

4.目的からさかのぼって手段を考えることができる場合に有効

逆です。何を持っているかを把握し、何ができるかをまずは考えましょうという考え方です。誤りです。

 

5.目的の選好順位が明確な場合に有効

目的から決めません。自分の持っているものから、まずは始めるという考え方です。誤りです。

 

以上より、3が正しいです。