令和 4 年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第四問 解答と解説

解答

 

設問1:3.

設問2:1. 

 

解説

 

市場シェア率に関する問題です。X業界におけるトップ4位が以下のようになっているということですね。

A社 45 %
B社 30 % :ただし、技術面ではA社に対抗可能
C社 15 %
D社 10 %

 

設問 1

 

さて、それでは設問1を見ていきましょう。B社の相対市場シェアを答える問題です。え、市場シェアはもう出ているじゃんって、一瞬思いますが、よく見ると相対市場シェアです。相対市場シェアとはいったい何でしょう?これは、1位との相対的なシェアの割合です。つまり、1位を1としたときに、自分はどれくらいか?ってことです。では、計算してみましょう。

 

B社の相対市場シェア = 30/45 = 6.666666...

 

というわけで答えは、3ですね。

 

設問 2

設問2です。B社のとるべき戦略はということで、この問題は2次試験にもからんでくるので、しっかり抑えておきたいです。

戦略の考え方については、色んな人がいろんなことを言っています。

まず、知っておきたいのがM.ポーターの3つの基本戦略です。以下のような戦略です。

  • コストリーダーシップ戦略
    コストを抑えて、収益性をあげていく戦略です。いわゆる規模の経済や、コストの削減努力により、収益性をあげて、シェアをあげていきます。
  • 差別化戦略
    競合他社との差別化を図り、ある一定の顧客に対して、自社の差別化された製品を打ち出していく戦略です。
  • 集中戦略
    ある特定の顧客に対しての販売を集中的に強化したり、コストを抑えることに集中するなど、資源の投入を集中化させる戦略です。差別化戦略と、コストリーダーシップ戦略と、平行して行われることが多いです。

次に、コトラーの競争地位戦略です。これは、自社の市場におけるポジショニングにより、戦略を決めていくやり方です。コトラーは以下のように、資源の質と量において、各企業のポジショニングを区分しました。

 

 

リーダー

質・量ともに制しているのが、市場のリーダーです。リーダーの市場戦略は、基本的にシェアの維持、さらには拡大となっていきます。新規参入を防ぐために、参入障壁を高める必要があります。コストリーダー戦略により、収益性を確保することで、参入障壁を高めたり、知名度を高めることなんかも、その対策になります。

そして、そのシェア率を背景にして、あらゆる製品の種類や価格帯などのバリエーションをそろえるフルライン戦略を打ち出し、市場全体全方位に対して拡大戦略を打ち出します。

 

チャレンジャー

チャレンジャーは、リーダーに次ぐシェア率を誇り、業界の2,3位に位置する企業です。当然、チャレンジャーは、その他の競合他社を蹴落として、最終的には業界1位を狙っていくのが目標です。

戦略としてはいくつかありますが、いずれにしても、リーダーと同じことをやっていたのでは、すでにシェアがあるリーダーを簡単には落とせません。そのため、有効な戦略としては、対リーダーへの差別化戦略を取るのが有効です。リーダーとの差別化を図り、ブランド、サービス、コストなどリーダーと差別化をはかることにより、シェアを奪取していきます。

 

ニッチャー 

りーだーに対して、シェアは劣っているものの、ある分野についてはその質が負けていない企業が、ニッチャーになります。 今回のB社をチャレンジャーにするのか、ニッチャーにするのか迷いどころではありますけど、質が同等であることが協調されているので、ニッチャーと捉えた方がよさそうです。

ニッチャーについては、自社が秀でている分野について集中戦略を取るのがセオリーです。ニッチ戦略または、ミニリーダー戦略とも呼ばれ、その分野(セグメント)に資源の投入を集中して、リーダーからシェアを奪っていきます。

 

フォロワー

質・量ともに、リーダーには及ばない層がフォロワーです。新規参入の企業なども最初はここになるでしょう。フォロワーが取るべき戦略は、リーダーの模倣戦略です。後出しの有利性を生かして、効率的に模倣製品を出し、低価格で同等な製品を出していき、シェアを奪っていきます。

 

さて、では問題文に戻っていきましょう。

1. A社から市場シェアを奪取しようとする場合には、経営資源を、すべての市場セグメントに偏りなく投入するのではなく、特定の市場セグメントに集中的に投入する。

特定のセグメントへの集中戦略で、ニッチャー戦略について話していますね。これが正解です。

 

2. A社よりも低価格の製品を供給するフォロワーとして、A社からの攻撃を回避する。

フォロワー戦略についてです。フォロワーと言っている時点で、これは違いますね。

 

3. A社をはじめとする競合企業への同質化によって、市場シェアの拡大を図る。

これも同質化と言っているので、フォロワー戦略です。誤りです。

 

4. B社の市場地位を利用して、小売店でのシェルフ・スペースの確保を、A社をはじめとする競合企業よりも有利に進める。

市場地位を利用して、シェルフ・スペースが確保できるのは、トップリーダーの戦略です。2番手、3番手ができる戦略ではありません。よって誤りです。

 

5. 規模の経済や経験曲線効果を利用して、A社をはじめとする競合企業に対するコスト面での優位性を確立する。

 コストリーダー戦略について言っています。業界2位のシェアを持っており、コスト面を抑えて収益性を上げるというのは、そこまで絶対これ違うだろって言うほどハズレではない気はしてしまうのですが、やはり技術の質が同等であることが強調されていることもあるので、誤りとなります。

 

 以上より、正解は1となります。