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投資の評価基準についてです。ここは、資格勉強を置いておいても勉強しておきたい事項です。今回は問題文をひとつひとつ見ていきましょう。
a 回収期間が短いほど、内部収益率は高くなる。
まず、内部収益率とは、IRRとも呼ばれ、投資の基本的な評価基準のひとつです。Wikiをとりあえず見てみましょう。
投資によって得られると見込まれる利回りのこと。IRR は、投資プロジェクトの正味現在価値 (NPV) がゼロとなる割引率である。
内部収益率は、正味現在価値と同様、プロジェクトが創出する全てのキャッシュ・フローの現在価値を考慮するという特徴もつ。内部収益率法はプロジェクトを利回りという率で評価するのに対し、正味現在価値法はプロジェクトを NPV という金額で評価する。
「内部収益率」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年2月10日 (木) 03:37 UTC、URL: 内部収益率 - Wikipedia
なぞがなぞ呼ぶとはこのことで、いまいちピンとこない説明です。どうも、正味現在価値というのが分からないと、IRRは理解できなそうです。
来受け取れるであろう価値を現在受け取った場合の価値である[1]。現在価値(英: Present Value)、正味現在価値(しょうみげんざいかち、英: net present value, NPV)ともいう。
割引率:割引現在価値を計算する際に使用する利回りのことを割引率という。
「割引現在価値」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年10月14日 (金) 05:08 UTC、URL: 割引現在価値 - Wikipedia
正味現在価値っていうのは、割引現在価値ともいうようですね。割引率っていうのは、金利などの利回りです。この辺は、現在価値、将来価値のところでやりましたね。将来得られる価格から、現在価値を出すときの、毎年にかかる金利などが割引率でした。
そしてIRRは、正味現在価値がゼロになる割引率です。では、正味現在価値はどうやって求めるのでしょうか。以下の式で表されます。
正味現在価値 = 現在価値 - 投資額
ちょっと話を戻しましょう、IRRは正味現在価値をゼロとする割引率ですから、現在価値と投資額が等しくなる割引率ということです。いや、そうは言われても、わけが分からなんとなっちゃっても、おかしくないです。最もシンプルな例を考えてみましょう。
1000円投資して、1年後1300円になって返って来る投資
1000円投資して、1年後1100円になって返って来る投資
IRRはいくらでしょうか?
将来価値から、投資額に等しい現在価値を求めればいいだけなので簡単ですね。上が、30%で、下が10%です。これは上を選ぶべきだってすぐに分かりますね。では次です。
1000円投資して、1年後1200円になって返って来る投資
1000円投資して、3年後1331円になって返って来る投資
これはどうでしょう?まず、IRRを考えてみましょう。上は、簡単ですね。20%です。下はどうでしょうか?まあ計算方法は、省きますが、これは10%です。よって、どうやら上の方が、利回りはよさそうだなっていうのが分かるわけです。
このように、内部収益率法は、期間を考慮した投資評価と言えます。よって、投資期間がことなる投資の比較なんかできるのは、内部収益率法になります。ただし、この際に、実際の金額要素が含まれないところが弱点で、たとえIRR=10%でも1000万円の投資なら、100万の儲けす。こちらが優先純度が高まることだってありえますね。そのようなところを埋める必要が出てきます。
そしてやっと問題文に戻りましょう。回収期間が短いほど内部収益率は高くなる。そんなわけがありません。これが正しかったら、必ず回収期間が短い投資話が優良ということになってしまいます。回収期間は何も関係ありませんね。誤りです。
b 回収期間法では、回収後のキャッシュフローを無視している。
1つ目からヘビーでしたが、知っていればなんてことない問題です。さて、2つ目はどうでしょうか?回収期間法ということばが出てきました。これはどういった評価方法でしょうか。
回収期間法は評価方法の中では最もシンプルな方法です。まず、投資金額を見積もる。そして、その後の回収予定を計画する。最後に、何年までに回収できる必要があるかの設定をする。回収予定と、その設定した期間を比べ、予定が短ければGOで、長ければNGとなります。
シンプルなだけあって、様々な問題があります。回収後のことが何も考えられていないというのは、その一つです。あくまで回収までの期間なので、回収後に1億儲かろうが、1億実は損をするかもなんて可能性は考慮されません。よって、詳細な判断が必要なときには不向きな方法であります。
選択肢は正しいですね。
c 正味現在価値法では、投資によって生じる毎年のキャッシュフローの符号が複数回変化する場合、異なるいくつかの値が得られる場合がある。
すでに、正味現在価値の考え方は出てきていましたね。この手法は、正味現在価値を計算し、プラスならばGO、マイナスならばNGと考えます。さらに複数の投資案件がある場合は、その数値の多寡により、優先度を決めることができるというメリットもあります。内部収益率法を補完する意味で使われることもあります。
さて、問題文に移りますが、キャッシュフローの符号?実は、この説明は、内部収益率法のことを言っています。内部収益率の場合、符号が変わっていき差し引きがされると、複数の解が出てきてしまう場合があります。この場合、正味現在価値法により、これを補う必要があります。正味現在値法は、そもそもで累計値そのものが使われるので、その間の符号の変化は関係ありませんね。よって、この選択肢は誤りです。
d 内部収益率法を用いて相互排他的投資案を判定すると、企業価値の最大化をもたらさないことがある。
さて、これは上記で言ったように、あくまで率なのでその投資規模を考慮することができません。やはりこの場合も、正味現在価値法により、補完してあげる必要があります。よって、これは正しいです。
以上より、bとdが正しいですので、4が正解となります。