令和 4 年度 第 1 次試験問題 財務・会計 第十六問 解答と解説

解答

 

4.

 

解説

 

計算問題から解放されて、一休みで、ポートフォリオについてです。いろいろキーワードが出てきています。ポートフォリオ、効率的フロンティア、安全資産、リスク資産あたりは、意味を覚えておかなければいけないです。

ポートフォリオはよく用語としては出てきて、なんとなくは分かっているのだけど、正確には分かっていない人、多いと思います。まずは、Wikiから引いてみましょう。

 

ポートフォリオ(金融) (portfolio)

 資産構成の事である。

「直接原価計算」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年7月17日 (日) 01:05 UTCURL:ポートフォリオ (金融) - Wikipedia

 概要説明短い!資産をどのように構成するのかということのようですね。我々は、日常的に資産をどのように蓄えていくのかということを多かれ少なかれ選択していると思います。この選択による資産構成が、金融におけるポートフォリオになります。

選択資産の中にはリスクのあるもの、リスクのないものあるはずです。リスクがないものについては、安全資産、リスクのあるものについてはリスク資産と呼びます。

そして、資産選択(ポートフォリオ)を分析するため、縦軸に期待収益、横軸にリスクのグラフを使って、これを表現します。選択可能な資産は、以下の青い領域と言われます。

下の方なんて、期待収益が下がれば下がるほどリスクが高まるなんて、だれが選ぶんだそんなのっていう話です。それは逆に、下の方は、リスクが少なくて、期待収益が高い資産なんて、存在しないということです。

上の方は、傾きが上に行けばいくほど緩やかになります。期待収益が上がれば上がるほど、リスクはどんどんあがっていくということですね。

 

 

 しかし、下の方は、期待収益が上がれば上がるほどリスクが低くなるという、そんな領域誰が選ぶんだっていう資産です。そう、そもそも、そうそう誰も選ばないんです。なぜなら効率的ではないからです。安い株とかがこういうところにいるのかなって思いますが。特別な理由がなければ、別の資産を選びます。もっと効率的な資産をです。

では、効率的な資産というのはどこでしょうか?それは、当たり前かもしれませんが、「その期待収益において、最小のリスクの資産」になります。その集合点は以下の部分のはずです。それは以下のオレンジのところです。これこそが、「効率的フロンティア」になります。

 

 

さて、ところで安全資産とポートフォリオの関係はどうなるのでしょうか?安全資産は、国債や定期預金など、無リスクな資産のことです。もちろんリスクはゼロとなるので、リスク=0の垂直線上に存在します。その安全資産の点と、効率的フロンティアとを結んだ接線を、資本市場線と呼びます。以下のような関係性です。

 

 いや、なんでそこを線結んだの?って思ってしまいまったのは僕だけではないはずです。安全資産は、言ってみればリスクゼロの最強の資産と言えます。そして、効率的フロンティアに接するように引いたこの線は、安全資産とリスク資産を組み合わせた場合の拡張された効率的フロンティアと言えます。

資本市場線についてもう少し考えましょう。まず左側の切片は安全資産の点で、そこからリスク資産による効率的フロンティアに接する線で、その接点は接点ポートフォリオでした。

 

まず、リスク0の安全資産の点では、安全資産のみで資産構成していることを表しています。

安全資産から接点ポートフォリオまでは、安全資産とリスク資産を複合的に資産形成している状態です。

そして、接点ポートフォリオの点ではリスク資産のみで資産構成できる最適な資産構成です。

そして、右上にいけばいくほどリスク資産の割合が増えていきますが、接点ポートフォリオより右上はどういう状況でしょう?接点ポートフォリオの時点で安全資産は0の状態になりましたが、それより右側はいわば安全資産がマイナスの状態となり、安全資産を担保に資本を借入をしている状態になります。

 

さて、問題文に戻りましょう。

 

1.安全資産が存在しない場合、効率的フロンティアは曲線 ABCD である。

さて、どうでしょう。安全資産が存在しない場合は、Fが存在しないということで、結局のところ資本市場線が形成できない状態になります。その場合の効率的フロンティアとは、下図での BCD になるはずですね。よって、誤りです。

 

2.安全資産が存在しない場合、投資家のリスク回避度にかかわらず、リスク資産の最適なポートフォリオは点Cになる。

安全資産が存在しない場合の最適ポートフォリオですが、もちろん効率的フロンティア上になるわけですが、どこになるでしょう?

安全資産が存在する場合は、資本市場線と効率的フロンティアの交点である点Cは最も効率的な点であると言えましたが、安全資産が存在しない場合は当然この点はありません。投資家のリスク回避度など、投資家のタイプにより最適点は異なって来るので、この選択肢は誤りです。

 

3.安全資産が存在する場合、投資家のリスク回避度が高いほど、リスク資産の最適なポートフォリオは曲線 BCD 上の点D寄りに位置する。

これは瞬間的に分かるでしょう。Dによれば寄るほど、ハイリスクハイリターンだったはずです。ということは、回避度が高いということはリスクを避けたいわけですので、これはあり得ないです。誤りです。

 

4.安全資産が存在する場合で、かつ資金の借り入れができないならば、効率的フロンティアは FCD を結んだ線となる。

最後まで残ったこいつが答えですね。

ポイントになるのが、さて、借り入れができない条件ですね。先に述べたように、接点ポートフォリオよりも右側のラインCEは、借り入れを行っている状態でした。しかし、これが無しとなるということは、リスク資産のみで資産を構成するということになり、リスク資産の効率的フロンティアが適用されるということです。

すなわち、接点ポートフォリオより右側は、CDが適用されるわけです。よって、FCDを結んだ線が、効率的フロンティアとなるは、正しいです。

 

よって正解は、4です。