令和 4 年度 第 1 次試験問題 財務・会計 第十問 解答と解説

解答

 

2. 

 

解説

 

自己株式の会計処理についてです。この辺の知識問題は、きっと簿記2級あたりを持っていると、すんなりと入ってくるんでしょうか。あまり自分は、財務・会計とかかわるような仕事ではないので、なかなかこの辺の勉強は苦労しています。

それはさておき、自己株式とは、言ってみれば自社で取得した自社の株式のことです。はて、自分の会社の株式の会計なんてする必要あるんでしょうか?その会計処理とはいかに?基本的に、自社株式の購入って、インサイダー取引とかにあたって、できないのではって思いますが、現在、自己株式の取得は法律上も認められています。これに何の意味があるかというと、多くの株式をいたずらに泳がせていると、敵対する企業から買収に合ってしまうかもしれません。そのため、不要な株式を自分自身で取得して、その比率をうまく調整するために自己株式を取得することが多いです。また、株を買い上げることで、意図的に株価があがり、企業評価が仮初でも高くなります。これについては、ある程度は制限はあるようですが。

また、同じ理由で発行株式を減らすため、自己株式を消却することも可能です。ただし、この決議には取締会の決議や取締役の過半数の賛成などが必要になってきて、ややめんどくさいです。

さて、自己株式を取得、または消却できることもわかりました。では問題にうつり、その会計処理はどうなるのかです。 

 

1.自己株式の取得は、他社の株式を取得する場合と同様に処理される。

他社の株式の取得が分からないと、同じかどうかなんてわからないですね。他社の株式の取得といっても、目的によって違いがあります。売買を目的とした短期所有(1年以内)の場合、流動資産扱いとなりますし、投資として株式を取得した場合、投資有価証券として、固定資産扱いになります。

さて、自国株式はどうなるかというと、会計上、純資産に属する自己株式の勘定科目の扱になります。よって、同様の処理はされません。誤りです。

 

2.自己株式の取得は純資産の減少、自己株式の売却は純資産の増加として処理する。

自己株式を取得した場合の重要な点です。純資産はその取得金額分減少します。そりゃあ、100万円の株式を発行して100万円分の資産があったところを、10万円分自分で買い戻せば、資産は90万円になるというものです。これを表すように、純資産の部には、株主資本の控除項目として計上されます。つまり、マイナス資産を表しています。

自己株式を売却するということは、その逆のことが起こるということになりますので、純資産はある意味元通りになり、増加することを意味します。よって、2は正しいです。

 

3.自己株式を消却した場合、その他利益剰余金が減少する。

これはちょっと難しい。

自己株式を消却した場合は、「その他資本剰余金」から減額することが定められており、この時点で、これは誤りとできればよいのですが、それでも足りない分、マイナスになる分は、その他利益剰余金に振り返るとあります。ちょっと紛らわしいですが、シンプルに考え、その他資本剰余金が足りなかったときのような条件も無いため、これは誤りと考えます。

 

4.自己株式を消却した場合、資産が減少する。

消却した場合です。これも非常に難しいです。自己株式を取得して消却した場合って、どちらかというと、株式枚数が減って、資産って実質的に減少するんじゃない?とちょっと首をかしげましたが、償却しようと資本が変わるわけではないので、会計上は減資するわけではないということです。よって、これは誤りです。

 

個人的には、全部真面目に読んでしまうと、迷ってしまう問題だなぁって思いました。すんなり、2で解答できればやさしい問題かもしれませんが。

以上より、解答は2になります。