令和 4 年度 第 1 次試験問題 財務・会計 第九問 解答と解説

解答

 

4. 

 

解説

 

知識問題が続き、退職給付会計についてです。そして、今回も不適切なものを選ぶことに注意してください。

さて、問題となる退職給付会計とは、当然ながら退職金の会計処理についての話になります。退職金の特色をおさえておきましょう。退職金は、従業員の勤続年数、功績などの対価として、毎年積み立てられていく企業にとっての負債のようなものです。このような特色の退職金についての会計処理にはルールが定められています。

ここで、退職給付会計全てを覚えるとなると、なかなか大変ですので、ここでは問題文から最小限を覚えていきましょう。

 

1.退職給付会計における年金資産とは、制度に基づいて積み立てられた年金資産だけでなく、一定の要件を満たした外部積立の資産も年金資産とみなしている。

年金資産とは何でしょう。これは退職金を目的として外部の保険会社や信託銀行などに積み立てたお金のことです。厚生年金基金制度などがこれにあたり、制度に基づいた積み立てに区分されるでしょう。その他の外部積み立てもありますが、問題文の通り一定の要件があります。退職金としてのみ目的としているというのもその一つです。あとは事業主が勝手に、それを解約してしまったりができないなど、従業員の権利が守られる仕組みになっています。よって、1番目は正しいです。

では、2はどうでしょう?

2.退職給付会計における費用は、「退職給付費用」として企業の損益計算書に計上される。

実際の計算方法や、処理の流れはここでは割愛しますが、退職給付会計について大きく2つの処理が必要であることだけ、ここで覚えておきましょう。

一つ目が、貸借対照表に対して、退職給付引当金を記載することです。これは当期末までに発生が見込まれる退職金の見積もり額を計上したものです。

そして損益計算書に計上する必要があるのが、問題文の通りで退職給付費用です。よって、これについても正しいです。

 

3.退職給付制度が終了した場合、資産の減少を伴って退職給付債務が減少する。

終了とはどういうことか、退職金がなくなってしまうことか、とそんなわけもなく、確定拠出年金制度へ移行するなどして、退職給付制度を別の制度に移行する場合の話です。この場合、問題文にもあるように、積み立てていた退職給付引当金が減少し、給与の支給と同じ扱いになるため、退職給付債務は減少する形になる。正しいです。

4.年金資産および年金債務は両建てで貸借対照表に表示されなければならない。

 これも覚えておくしかない部分ではありますが、年金資産と年金債務は両建てで表示するのではなく、相殺させた差額を、退職給付引当金として計上する形になります。よって、これは誤りです。よってこれが解答になります。

 

以上より、答えは4です。