令和 4 年度 第 1 次試験問題 財務・会計 第四問 解答と解説

解答

 

2. 

 

解説

外貨建取引に関する問題です。外貨建取引については、言葉の意味としては何となく誰もが知っていると思います。売買した際の価格、または何らかの取引する際の価格表示が、外国通貨で表示されている取引のことです。まあ、とにかく外貨をベースに取引するってことですね。

この手の問題は、おおよそ出題傾向は同じなので、過去問題を通して覚えていくのが効率的です。問題文をひとつひとつ丁寧に読み込んでいきましょう。

 

1.外貨建の金銭債権・債務、前払金・前受金については、決算日の直物為替レートにより換算する。

 

外貨建の金銭債権・債務・前払金・前受金、ポイントはこれらはどれも、その場で金銭と品物の交換のタイミングが異なるということです。異なったときに、外貨建の場合に、何が問題になってくるでしょう。当然、為替レートです。帳簿にはどうしても円で記録する必要があるので、どのタイミングの為替レートを使用するのかは重要です。

それでは、ある商品を輸出する場合を例にとって考えてみます。商品Aを外国へ輸出した際、代金を掛とします。その場合、売掛金として帳簿には記録することになりますが、そのタイミングでの為替レートで帳簿には記録を行います。

そしてその後、売掛金が決済される際は、その決済されるタイミングの為替レートで、決済処理を記録します。しかし、ここで、実際の取引のタイミングと為替レートの差異が出る場合があり、損益が出る可能性があります。このように出た損益は、為替差損益勘定として処理がされます。

もっと、複雑な取引もあるのかもしれませんが、いずれにしても、決算日の為替レートが用いられることはありません。1は誤りです。

 

2.為替差損益は、原則として営業外収益または営業外費用とする。

さて、1でも出てきた為替差損益の処理についてです。これは、もうその通りに覚えてください。為替差損は、営業外費用、為替差益は営業外収益として扱います。その通りです。よって、これが正になります。

 

3.在外支店の財務諸表項目の換算は、決算日の直物為替レートにより換算する。

在外支店、つまり海外の支店についての話です。 海外に支店がある場合は、支店の財務諸表は外国通貨で表示されていますが、日本側での合併財務諸表を作成する場合には、当然これらを円換算してあげなければいけないです。じゃあ、この円換算は、どのタイミングの為替レートが使われるべきか、となります。

さて、直物為替レートとは何でしょうか?この為替レートは売買が成立~2営業日程度までに取引がされる際の為替レートのことを指します。つまり、取引時の為替レートと言ってよいです。

問題に戻り、在外支店の財務諸表項目の換算については、厳密にルールが決まっています。例外はありますが、原則として決算時の為替レート CR(Current Rate)が、用いられます。直物為替とは違いますので、混同しないように注意してください。よって、これは誤りです。

 

二取引基準とは、自国通貨と外国通貨で帳簿を作成することをいう。

用語問題です。二取引基準を全く知らないとどうにもならないと思います。しかし、すでにこの取引の話はこの問題内で出てきています。二取引というくらいなので、二つの取引が存在しているというのが想像されると思います。これのひとつ目は、「外貨建の取引」です。そしてその後の売掛金・買掛金等の決済、これが二つ目の取引です。

二取引基準があるくらいなので、一取引基準があるわけですが、この2つの取引の流れを一つの取引として扱うのが、一取引基準で、これを2つ別の取引として表したものが、ニ取引基準です。なお、現在の会計基準では、ニ取引基準が原則となっていることにも注意しましょう。よって、問題文の説明は明らかに誤りです。

以上より、解答は2になります。