令和4年度 第 1 次試験問題 財務・会計 第一問 解答と解説

解答

 

2. 

 

解説

 そもそもで、当座預金とはなんだか、はっきりと覚えていない人も多いと思います。ここらで、はっきりと覚えておきましょう。

 当座預金口座は、通常の普通預金口座とはなんだか異なるんだろうなっていうのは何となくわかると思います。ざっくりというと、企業間でのお金のやり取りとして使われる手形や小切手などの、お金の処理を行うための講座です。いくつか決まりがありますが、例えば普通の口座とは違って利息がついたりはしません。

 よく手形や小切手の振り出し、そして払い出しという言葉は、中小企業診断士試験の問題でもよくお目にかかりますね。振り出しとは手型や小切手などに自分の名義を記載して、取引先相手に、手形や小切手を渡すことを言います。払い出しは、その手形や小切手を取引先企業が、お金に換えるために、銀行に依頼をかけて、現金が返ってくることを言います。会社、銀行、取引先の関係を表すと、以下のような感じになります。

 

 しかし、問題文を読んでいくと、「未取付」という上記の図には出てこない言葉が出てきます。まあ、結局のところ換金前のって意味ではどっちも同じなので、区別しなくて問題ないことも多いですが、一応違いがあります。

「未取付」とは、上記でいうと、取引先が銀行に対して、小切手を提示して、取立依頼を出していない状態、つまり取引先が行動をしていない状態です。対して、「未取立」という言葉もありますが、これは小切手の提示はしたけど、まだ銀行が換金できていない状態。つまりは銀行側の処理がまだ完了していない状態です。

この様々なやり取りの中、もちろん、会社側はこれらの銀行とのやり取りや、取引先側とのやり取りを記録した勘定があります。また、銀行側も、やり取りに応じた残高証明書を持っています。今回の問題でもありますように、会社側の勘定と、銀行側の残高証明書はずれることがあり、決算日にはこれを是正してあげる必要があります。調整後とは、この是正対応が完了した後ということです。

まずは、現在の状況を問題文から確認してみましょう。

 当座預金勘定残高は 500,000 円であったが、銀行から受け取った残高証明書の残高は 480,000 円であった

上記のように、会社側の勘定残高が20,000円ほど銀行側の残高証明書よりも多い状態のようですね。なぜずれたのかは、その後に続く文章に書かれていて、問題自体は、じゃあ実際の残高はいくら?っていう問題です。 

 ひとつひとつ見ていきましょう。

 

1.仕入先銀座商店へ買掛金 80,000 円の支払いのために振出した小切手が、未取付であった。

買掛金とかの説明は今回は省いてしまいます。買掛の金額支払いとして、小切手を振り出した仕入先へ振り出したわけですね。その小切手がまず未取付であった、ということです。勘定側では支払い済みの扱いになっていたけど、まだ、仕入先銀座商店さんが、銀行に行ってないってことですね。この金額が80,000円あったってことです。

80,000円すでに取り立てられていたと思ったら、銀行に残っていたということですので、勘定の金額を、まずは+80,000しましょう。

500,000 + 80,000 = 580,000

なんか、余計に銀行側の残高証明書と離れてしまいました。

 

2.得意先京橋商店から売掛金 150,000 円の当座振込があったが、通知未達のため未記入である。

今度は売掛金の話で、京橋商店さんが、150,000円、当座口座へ振り込んでくれたんですね。しかし、それが会社側に通知されておらず勘定に反映されていなかったということですね。ということは、銀行には振り込まれていたにも関わらず、勘定に反映されていなかったということで、これも残高を足してあげないといけないです。

580,000 + 150,000 = 730,000

どんどん、離れていって不安になってきます。

 

3.得意先新橋商店が振出した小切手 200,000 円を当座預金口座へ預け入れたが、いまだ取り立てられていない。

次は、新橋商店さんです。この得意先はどうしたのでしょう。まず、この商店さんは、小切手をこちらの会社側へ振り出しています。そしてすでに会社側は、それを当座預金口座へ預け入れたわけですが、未だ取り立てられていない、つまり換金できていなかったということが分かったわけです。未取立小切手ということですね。

そのため、勘定側には200,000円が銀行に換金されているはずが、これがされていなかったということですので、残高を引いてあげないといけないです。

730,000 - 200,000 = 530,000

 

4.水道光熱費 50,000 円の通知が未達である。

最後は簡単で、50,000円水道光熱費として、引き落とされているはずなのですが、通知が未達のため、勘定に反映できていないということですね。

530,000 - 50,000 = 480,000

ということで、無事に銀行の証明書とぴったり合いました。・・・とは済まないです。問題は実際の調整後の勘定はなにか?という問題です。解答群に480,000なんてありません。

つまり、この4つの中で、現時点ですでに処理がされているにも関わらず、反映できていないものと、まだ反映されていないだけで、これから反映されるはずのものがあるはずです。

ここで、実際に勘定に反映しなければいけないものは、前者ですでに処理がされているものです。後者はそのうち銀行に反映されるはずで、今期の決算として処理されるものです。ということは、通知が未達のものが、これにあたり、それは2と4になります。では、 これらのみを反映してみましょう。

500,000 + 150,000 - 50,000 = 600,000

よって、解答は、600,000で、2となります。