令和3年度 第 1 次試験問題 財務・会計 第十七問 解答と解説

解答

 

2.

 

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解説

 

モジリアーニとミラーの理論(MM 理論)についてです。

 

MM理論 

MM理論(エムエムりろん)とは、アメリカのフランコ・モディリアーニマートン・ミラー1958年に提唱した、資本構造における近代的思考の基礎、完全な市場の下で企業が資金調達を行うときには、資金調達方法の組み合わせ方を変えても企業価値は変化しないという定理である

モディリアーニ=ミラーの定理(Modigliani-Miller theorem)、資本構造の無効性原理(capital structure irrelevance principle)とも呼ばれる。

概要

完全市場を仮定すれば、企業の資本構成および配当政策は企業価値に影響を与えないという定理であり、またMM理論は完全市場を前提とする理論であることから、完全市場でない現実の市場においては、資本構成や配当政策は企業価値に影響を与えるとされる。

 

『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2021年11月7日 (日) 17:36 UTC

ja.wikipedia.org

 

 さっぱりわけわからんって思われるかもしれません。

まず家庭は完全市場です。完全市場とは、税金や取引にかかる諸経費が全くかからない夢のような世界です。この世界においては、負債をかかえていようとなんだろうと、企業価値には何の影響も与えないよってことです。だって、それでなんのデメリットも無いのだから、借り得なわけです。

そして、もうひとつが、配当金にお金をまわそうが、まわさないで保管しておこうが、それで企業価値はなんら変わらないですよってことです。

そしてさらに修正命題というのが後からあって、それは法人税を考慮したモデルで、この場合、負債を持つ企業の方が、企業価値が高いというものである。これは負債を持つことにより、節税効果が生まれることによるものです。

では、具体的な問題文を見ていきましょう。

 

 

1.自己資本による資金調達はコストが生じないので、負債比率が低下するほど企業価値は増加する。

修正命題にあるように負債があると企業価値は高まります。逆に負債比率が低下すると、企業価値は定価します。よって、誤りです。

 

2.倒産リスクの高低は、最適資本構成に影響する。

他のが割と簡単に誤りと判断できるので、これを選ぶしかなくなりますが、いきなりこれを選ぶのはなかなか難しいです。第一命題を読む限りは、資本構成に依存しないと言っている気もするので、ますます選びにくい。いずれにしても修正命題を考慮して、このMM理論を考えなければいけません。そう思うと、負債を抱えると企業価値が高まるので、資本構成は倒産リスクの高低に影響すると言えます。

よって、これは当然影響することになります。これが正解になります。

 

 

3.負債比率が非常に高くなると、自己資本コストは上昇するが、負債コストは影響を受けない。

企業価値が高くなるんでしたね。誤りです。

 

4.法人税が存在する場合、負債比率の水準は企業価値に影響しない。

法人税が存在する場合、修正命題が成り立ち、企業価値に影響するんでしたね。誤りです。 

 

 以上より、正解は2となります。