令和3年度 第 1 次試験問題 経済学・経済政策 第八問 解答と解説

解答

 

4.

 

解説

令和3年度の6問目も確認しておきましょう。

令和3年度 第 1 次試験問題 経済学・経済政策 第六問 解答と解説 - Nのビジネスブログ (hatenablog.com)

 

a 投資の利子感応度が大きいほど、貨幣供給量の増加が GDP を増加させる効果は、大きくなる。

利子感応度とは何でしょうか?利子が変動した時の、投資の変動幅です。基本利子が低い方が投資が増えていきますね。利子が1減ったときにどれくらい、投資が増えていくのかを表したものです。大きいほど、投資がの増減が大きいということですね。以下のように、IS曲線の角度が緩い方が、GDPへの変化幅が大きいことが分かる。

さて問題に戻りましょう。貨幣供給量の増加とは何を示すでしょうか?6問目でやった通り、LM曲線が右側へシフトすることを示しますね。同じ点から、貨幣供給量が増加した場合を考えてみましょう。下のグラフを見て分かるように、利子感応度が大きい方が、GDPの増加が大きいことが分かります。

 

 

 

以上より、この記述は正しいです。

 

b 貨幣数量説の考え方によると、貨幣供給量の増加は、物価水準を上昇させるとともに、実質 GDP を比例的に増加させる。

貨幣数量節とは、物価は貨幣量に比例しますよーって説です。物価水準が上昇したら実質GDPは上がるでしょうか?名目GDPは上がりますが、実質GDPに変化はありません。 誤りです。

 

c ケインズ的な金融政策の考え方によれば、貨幣供給量は経済成長率に合わせた一定率(k %)で増加させることが望ましい。

フリードマンのk%ルールの話です。いわゆるマネタリズムの考え方で、ケインズ派の考え方には否定的です。

じゃあ、ケインズ的な金融政策とは何か。 経済の好景気・不景気に依存してその都度動的に変更するようなもので、フリードマンはそれを批判して混乱を招くだけとして、固定的なk%ルールを提案したわけです。

よって、誤りです。

d 流動性のわなが生じているときの貨幣供給量の増加は、更なる利子率の低下がないために投資のクラウディング・アウトを伴うことなく、GDP を増加させる。

まず、流動性のわなとはなんでしょうか。

 

金融緩和していった場合何が起こるでしょうか?端的に言うと、利子率が下がっていきます。LM曲線は右にシフトしていきます。



 しかし、これをずっと続けていくと、利子率はある一定時点から下がらなくなります。よって、LM曲線は水平となってしまい、もう投資は上がらなくなります。このことを流動性の罠といいます。 

 

 このような状況になった場合、財政拡張政策を行い、IS曲線を右にシフトするとクラウディングアウトが発生せずに、投資を増やすことができ、非常に有効な手段となります。

しかし、問題文のように、貨幣供給を増やしても、LM曲線を右にシフトする政策です。いくらやっても流動性の罠を広げるだけです。よって誤りです。

 

よって、a正、b誤、c誤、d誤 ということで、4が正解です。